令和6年能登半島地震により被災された皆様、関係者の皆様に心よりお見舞い申し上げます。
株式会社フォーム・プラス(本社:静岡県藤枝市、代表取締役社⻑:吉富 望)は、輪島市役所と大鐘測量設計の協力 の下、輪島市黑島地区重要伝統的建造物群保存地区の360度全方向3Dカメラを用いたマルチ3D測定を行なった。


■ 概要
今回の測定では、輪島市黑島地区重要伝統的建造物群保存地区の約1,500 M x 600 Mのエリアにおいて、車載・歩行・ド ローン・地上型レーザースキャナーを用いたマルチ3D測定を行った。
■ 本測定の目的 1)重要伝統的建造物群保存地区の被害状況の確認 2)今後の復興の取り組みやまちづくりの過程を3Dデータとして後世に残す
■ 測定について 重要伝統的建造物群保存地区は、現在も瓦礫の撤去が行われていないエリアや修復されていない道路があるため、車載やドロ ーン、また、歩行による測定も含め、一台で全ての測定タイプに対応可能な米国GeoCam社(https://www.geocam.xy z)の360度全方向3Dカメラを使用した。
また、詳細な3D測定を行うために、旧角海家住宅付近は大鐘測量設計株式会社(https://www.ogane.co.jp)が地上 型レーザースキャナーを使いTLS点群データを計測した。さらに、大鐘測量設計株式会社は重要伝統的建造物群保存地区の 全域を3D測定するためにドローンを使いUAV点群データを計測した。
■ 輪島市黑島地区のマルチ3D測定を通して明らかになったこと
1. 360度全方向3Dカメラによる時間的効用 全体の被害状況などを把握するのには、360度全方向3Dカメラを使った車と歩行、またドローンによる3D測定が短時間で被害 程度の全容を把握するのに大変役立った。車と歩行による3D測定はカメラの設置時間も含め約2時間で重要伝統的建造物 群保存地区の全域を、またドローンによる3D測定も、基準局の設置も含め約半日で全域の3D測定を完了させることができ、短 時間で被害程度の全容を把握することができた。
2. 360度全方向3Dカメラの費用効果 また、360度全方向3Dカメラで取得した3Dデータは応急危険度判定にも使用できる精度・内容であり、将来的には遠隔での応 急危険度判定にも導入できる可能性がある。今回の地震では応急危険度判定調査が累計238班体制で11日間かけ行われ た。遠隔から建築士が応急危険度判定を行うことで、安全性の確保の他、費用面でも桁違いに抑えることになるとの試算が出さ れているだけではなく、地震発生後直ぐに応急危険度判定を行えるという大幅な時間短縮のメリットがある。
3. 測定の柔軟性 さらに、今回使用した様々な3D測定方法に対応可能なカメラを使うことにより、状況に応じて素早く測定方法(車、徒歩など) を変えて3D測定を行うことができるため、瓦礫で交通が遮られている道路などがあった場合は、カメラを車から外し手に持って測定 を続けることや、瓦礫で遮断されている室内などはカメラに一脚を取り付け隙見の間を伸ばして測定することが可能であるなど、現 場に行って初めて分かる状況に柔軟に対応できるメリットは多大である。
■ 本測定に対する反応
輪島市関係職員のコメント:
「発災後の倒壊が多数あり道路状況も悪い中で危険を伴う現地調査が、3Dデータ調査で行われると、調査効率、安全性や費 用面でもメリットがある。」 「解析できた黑島地区の隆起データは、国の伝統的建造物郡保存地区の街並みを守る復興に向けての基礎データとなり、スピ ード感を持って実施されると良いと感じる。⺠間事業者の解析結果が復興のスピードアップになると被災自治体としてはありがた い。」
■ 今後の応用可能性について 車載と歩行、また、ドローンと地上型レーザースキャナーのマルチ3D測定を上手く使い分けることにより、災害発生後の業務をかな り効率化できることが実証された。すなわち、災害対応において必要となる情報を的確に提供する仕組みとして、
1 災害発生直後の被害状況の全体像を把握するには、車載と歩行用の360度全方向3Dカメラおよびドローンを使った 3D測定が最も効率的であり迅速性を高めるやり方である。
2 災害発生直後の応急危険度判定を行うには、車載と歩行用の360度全方向3Dカメラおよびドローンを使った3D測 定が最も効率的であり、迅速性を高めると同時に多大な経費削減をもたらす。
3 被害の原因解明や復興計画や修繕計画には詳細な3Dデータが必要となるが、今回大鐘測量設計株式会社が地 上型レーザースキャナーを使い行なった計測データからは土地の隆起が確認されており、今後の復興計画や土地課税台帳の 更新などには必要不可欠なデータが取得されている。
輪島市関係職員のコメント:
「発災後の倒壊が多数あり道路状況も悪い中で危険を伴う現地調査が、3Dデータ調査で行われると、調査効率、安全性や費 用面でもメリットがある。」 「解析できた黑島地区の隆起データは、国の伝統的建造物郡保存地区の街並みを守る復興に向けての基礎データとなり、スピ ード感を持って実施されると良いと感じる。⺠間事業者の解析結果が復興のスピードアップになると被災自治体としてはありがたい。」


(株)フォーム・プラスでは、AIを使った応急危険度判定や、被害認定調査の自動化に向けた開発を計画しています。